●ツェルマット(Zermatt)からフィスプ(Visp)へ
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来た道をMGBツェルマット駅へ早足で戻る。
教会がある街の中心地に差しかかり、マーモットの泉を通り過ぎようとした時、ペットボトルに水を汲んでいる人の姿を見つけ、急ブレーキをかけて給水する。
高山病の症状が出たグレイシャー・パラダイスで、高山病対策でevianを飲み干していたのだが、運良く(?)ゴミ箱が見当たらなかったため、空のペットボトルを持ち歩いていたのだ。
これでevianの論理上の単価は1.75CHFに下がった。(笑)
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ゴンドラリフト乗り場から15分かかって16:07ツェルマット駅前に戻る。
駅前では演奏会をしている。時間があればじっくり聞きたいところだが、悲しいかな弾丸トラベラーには時間がない。
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未だ慣れないまま改札のない駅に入り、ホームに向かうと、16:13発の電車はすでに入線していた。
往路は前方の車輛に乗り込んだが、今回は何気なく真ん中あたりにある1等車に乗り込む。これが吉と出るか凶と出るか?
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で、座ったのはこんな感じの席。
バックパックを網棚にあげなくても、1等車は空席だらけなので問題ない。
余談だが、マウスオーバーで左に写っているバックパックの座席には白人カップルが座っていて、フィスプに着くまでいちゃいちゃ(チュッチュ)を繰り返していた。外国映画にあるようなシチュエーションなので気にしないようにしていたけど、実際目の当たりにすると感じのいいものではなかった。
※マウスオーバーで車内の様子
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電車は定刻通り16:13に発車した。発車のベルという予告がなく、突然発車するのはどうも違和感があるなぁ。
ツェルマットを出発すると、すぐに検札に来た。往路もそうだったが、SBBもMGBも車掌は年配の女性だ。日本と社会基盤の違いを感じる。
往路とは反対側の席に座ったが、景色に大差は感じられない。
写真の家はまだ新しそうだが、石の瓦屋根と煙突、ベランダとデッキという、スイスらしい家屋で、何十年か経つといい味が出てくるんだろうなと感じた。
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●急げ!フィスプ(Visp)からシュピーツ(Spiez)へ
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この電車のフィスプへの到着予定は17:22で、フィスプからシュピーツ行きの電車は17:28発車で、6分の連絡である。
しかし、フィスプへ到着したのは5分遅れの17:27で、車内放送は一切なかった。ということは乗換時間は僅か1分。地下通路を通って隣のホームに行かなければならない。
きちんと連絡していれば待ってくれるだろうが、MGBとSBBという別会社である。乗り継ぎの放送も無いし、保証もない。他の乗客と共に、ドアが開くと同時にダッシュした。
今回も運良く地下通路に近い車輛だったので、割と早くシュピーツ行き電車のホームに辿り着き、1等車輛に乗りこむことができた。
結果的にこの電車は3分遅れの17:31に発車したわけだから、ゆっくり移動しても大丈夫だったことになる。だが、しつこいようだが発車のベルがないので、いつ発車するか分からないから乗るまで安心できないのだ。
時間に正確と言われるスイスの鉄道だが、評判を鵜呑みにしてはいけないと思った。
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取りあえず予定の電車に乗れたのでほっと一息つく。ある意味緊張の糸が緩んだのだが、そうすると今まで緊張感で遮断されていた信号が送られてくるようになる。
真っ先に飛び込んだのは「朝から水しかもらっていない」という胃袋からの叫びにも似た信号だった。(笑)
早速やってきた車内販売で白ワイン(9.5CHF≒920JPY)を買う。スイスは良質の白ワインの産地らしいが、生産量が少ないためほとんど国内で消費され、あまり国外に流通していないらしい。お土産に持ち帰るには重いので、スイスの名産のチーズをアテに呑むことを楽しみにしていたのだ。
しかし、残念ながらチーズはないとのこと。次のシュピーツのKIOSKでチーズを買うまで我慢しようかと思ったが、我慢しきれず1杯だけ呑むことにした。実はこれが失敗の始まりだった・・・。
ちなみに往路のチューリッヒ−フィスプ間の車内販売も売り子(?)はおじさんだった。車掌といい売り子といい、日本とはイメージが異なる。
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●やっちまった!シュピーツからインターラーケン・オスト(Interlaken Ost)へ
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次の乗換駅のシュピーツには17:53到着予定だったが、4分遅れの17:57に4番ホームに到着した。
自作ガイドブックによると、インターラーケン・オスト行きのR6132は1番ホームから18:05発車になっている。
地下通路を通って1番ホームに行き、待ち時間を利用してKIOSKを覗くが、チーズだけでなく肴になるようなものがない。なぜ?
次のインターラーケン・オストの駅にはCOOPがあるとのことなので、それまで我慢することにする。
この写真は(たぶん)カー・トレイン。同じ山岳国家とはいえ、この運送方法はコスト重視の日本では無理っぽいな、などと考える余裕がこの時はあった。
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発車時刻の18:05になったが電車は入線して来ない。時間に正確といわれるスイスの電車も遅れたからな、などと思っていると、隣の2番ホームから電車が発車していく。もしやと思ったが、その予感は的中していて、行き先には「Interlaken Ost」と書いてあるではないか・・・。
SBBのサイトから乗車予定の路線のタイムテーブルを印刷していたが、いちいちそれを見なくても、ひと目で路線の連絡が見れるように自作ガイドブックに転記していた。
後で印刷したタイムテーブルを見ると、前後の電車は1番ホームから発車なのだが、この電車だけは2番ホームだったのだ。チューリヒではこの自作ガイドブックに助けられたが、ここではホームの転記ミスで墓穴を掘ってしまった。
次の電車は18:25発。待ち時間は20分。
追い打ちをかけるように、更に悲劇は続く。
ショルダーバッグを開けるとくさい。我慢しきれず1杯だけ呑んだ白ワインのフタがきちんと閉まってなかったのだ。
こぼれた量は大したことなく、拭き取り用に使ったハンカチタオル、1パック分のウエットティッシュ、そしてデジカメ用ケースはゴミ箱行きとなったが、中のデジカメは問題なく動作した。ウエットティッシュでしつこく拭き取ったので、何とか臭いも気にならなくなった。
ということで、先ほどは何も買わなかったKIOSKに戻り、やけ酒お祓い用のビール(4CHF≒380JPY)を買ってホームで一気飲みする。(笑)
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●ゴールデン・パス・ライン
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今度はホームを間違えることなく電車に乗り込み、定刻の18:25にシュピーツを発車。すぐに行きにも見たトゥーン湖が左手に現れる。
この路線はゴールデンパスラインと呼ばれ、グレッシャーエクスプレス(氷河特急)、ベルニナエクスプレスと共に有名な絶景ルートで、今回はそのゴールデンパスラインの半分強に乗る。
【ゴールデンパス・ライン】
3つの鉄道会社(ルツェルン⇔インターラーケン間をZB、ツヴァイジンメン⇔インターラーケン間をBLS、モントルー⇔ツヴァイジンメン間をMOB)の路線をつなぎ、ルツェルン湖からレマン湖まで抜けるスイス横断ルート。ドイツ語圏の古都ルツェルンからフランス語圏のエレガントなモントルーまで、きらめく湖や雄大なアルプス、のどかな牧草地、美しいブドウ畑など、スイスの魅力がつまった路線。
(スイス政府観光局ホームページから引用)
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上記によるとこの路線はBLSという鉄道会社の運営になっていて、車内はレトロな感じ。
シュピーツから終点のインターラーケン・オストまでの乗車時間は25分。その間この車輛はほぼ貸し切り状態だった。
スイスの鉄道はグレッシャーエクスプレス等の一部観光列車を除き、予約しなくても座れる客車構成にしているとのことだが、その分鉄道料金は高い。利用者の賛否は分かれそうだが、この観光先進国の徹底したサービス精神は見習ってほしい。(誰に?)
そしてこの25分の間に、景色を肴に粗相をした白ワインをやっつける。朝から何も食べていないので、さすがに酔いが回る。
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インターラーケン・ヴェスト(Interlaken West)を過ぎ、間もなく終点のインターラーケン・オストに着こうかという時、突如右手にユングフラウが姿を現した。
慌ててカメラの電源を入れたが、写せたのは2枚だけで、恥ずかしがり屋のユングフラウはあっという間に隠れてしまった。
さすがユングフラウはアルプスの乙女と言われるだけあり、チラっとだけ姿を現す恥じらう姿が乙女チックでよろしい。
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定刻通り18:50に終点のインターラーケン・オストに到着。
シュピーツで乗り遅れなけレバ30分あまり時間があったので、ユングフラウを正面から眺められる場所として有名なへーエマッテ広場に行こうと考えていた。
タラレバを言っても仕方ない。当初のスケジュールではここに来る予定はなかったのだし、チラっとだけでもアルプスの乙女を見ることができたのだからヨシとしよう。
乗換時間の10分少々を利用して、駅に隣接しているCOOPで買い物をする。ここで念願のチーズ、炭水化物(パン)、命の水(ビール)を手に入れる。しめて13.5CHF(≒1,300JPY)。結局これが夕食・・・というか、今日一日の食事になってしまったのだから、労せずして節約したことになる。(苦笑)
※マウスオーバーでCOOPで買ったもの
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電車は定刻通り19:04にインターラケン・オストを発車。すぐに今度は右手にプリエンツ湖が現われ、しばらくその湖畔を走る。
その景色と念願のチーズを肴にビールを呑む。ビールも美味いが、このチーズがもの凄く美味い。薄学なためチーズの種類は知らないが、ドライタイプで味はかなり濃厚。手がベタベタするくらい脂肪分が多い。
食べているうちに段々しつこくなってきて、完食することはできなかった。
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徐々に暗くなり、疲れもピークで酔いも回って電車に乗ったまま舟を漕ぐ。(笑)
せっかくの絶景ルートにもかかわらず、食後はほとんど眠ったままゴールデンパス・ライン終点のルツェルン(Luzern)に到着する。
夢遊病者と化し、どう移動したか記憶にないが、6分の乗換時間内に13番ホームから6番ホームに移動し、チューリヒ中央駅(Zurich HB)行きIR2384に乗り込むことに成功。
そして夢遊病者が導かれるように乗り込んだのはサイレント・カー。(笑)
※マウスオーバーでサイレント・カー車内の注意事項
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ルツェルンを定刻通り21:10に発車。
夢遊病者がサイレント・カーに乗ったものだからさらに舟を漕ぎ続け、終点のチューリヒ中央駅にも定刻通り21:56に到着。そしてこの旅最後となる一等車に乗り込み、最終目的地のチューリヒ空港駅(Zurich Flughafen)に予定通り22:16に到着する。
※マウスオーバーで最後に乗った一等車の2階席
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●ホテルへ
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自作ガイドブックによると、ホテルバスは30分おきで次は22:45発。ただし、乗り場がどこかは分からない。
今朝通ったにもかかわらず、プチ迷子になりながらチューリヒ空港ビルに辿り着く。(笑)
ウロウロしているとインフォメーションを発見。ホテルの斡旋をお願いしている家族連れの後ろに並び、しばらく待って私の番になる。
私:ハロー、ホテルバス乗り場はどこですか?
係:ハロー、どこのホテルですか?
私:ホリデイイン・エクスプレス。
係:真っ直ぐ行って外に出たら右に行って、Zone 1の看板のところよ。
私:ありがとう!
係:どういたしまして、良い旅を!
ここでもインフォメーションは年配の女性で、ゆっくり分かりやすい英語で助かった。そして言われた通り真っ直ぐ行って突き当たりのドアを出て、右に曲がると写真のように”Hotelbus Zone 1”の看板があり、その下には”Holiday Inn Express”と書いてある。これで路頭に迷わずに済みそうだ。
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ホテルバス乗り場の横には巨大な自販機があり、COOPで買ったパンが1つ残っていることを思い出し、この自販機でシアトル旅行以来お気に入りのカフェラテ(3.5CHF≒340JPY)を買う。買う時は気にしなかったが、後から思うとかなり高い。
ほどなくしてホテルバスが到着。
トランクに預ける荷物もないので、「乗ってもいいか?」と聞くと、客かどうかのチェックもなく「どうぞ」と言うので乗り込む。
他に3人くらいの客が乗り込み、22:44に出発。1分前だけどいいのかな?ちなみにホテルバスの最終は23:15。
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空港を出る時、出口でカードを通していたので駐車料金がいるのかもしれない。
ホテルバスは郊外のような道をしばらく走り、最後はUターンをしてホテルに到着。このUターンはたまたまかもしれないが、何となくタイの道路に似た感じ。
もう一つ気になったのは、このホテルバスにはルームミラーが付いていなかったこと。これもたまたまなのか、スタンダードなのか・・・。
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これが今回の3泊4日の旅で唯一のホテルでの宿泊となる。
レセプションでバウチャーとパスポートを渡し、宿泊カードに記入してチェックインをする。念のためPriority Clubのメンバーズ・カードを出してみるが、さすがにこの格安プランではポイント加算は無理とのこと。
部屋は203号室で、日本式に言うと3階になる。部屋に入ったのは23:00ちょうど。ひと通り部屋を見回すが、格安プランでも普通の部屋のようだ。布団部屋でなくてよかった。(笑)
残っていたパンと高価なカフェラテの夜食を取る。残っていたチーズもつまむが、結局食べ切れずゴミ箱行きとなる。ごめん・・・。
この後、シャワーを浴び、歯磨きをして24時頃就寝。充実した長い1日が終った。
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