●大阪国際空港へ
子どもの頃の遠足前夜のように眠れないなどということはなく、いつも通りに寝て目覚し時計をセットしていなかったもののいつも通りの6時過ぎに起床する。外はどんよりとした曇り空で、夜のうちにかなり降っていて地面は濡れている。
今回はゆっくりの出発なので、天気予報やフライト状況のチェック、荷物の点検やビデオのセットをして9:53に家内の運転で自宅を出発。10:01に山陽ICにあるバス停に到着すると、三連休の初日とあってかすでに4人ほどが待合所で待っていて、その後も次々と乗客がやって来る。
10:10頃バスが到着する。荷物満載のトランクに荷物を入れてもらい、車内に乗り込むと今まで見たことがないほどの乗車率で、40席中37席(たぶん)が埋まっている。
バスは定刻通り10:13に出発する。途中三木SAで11:23から11:44までトイレ休憩をする。細かいことだが、20分の休憩で大半の人は5分前に車内に戻っていたものの、1組のカップルが遅れて戻って来た。我々の世代は団体行動は5分前集合というのが暗黙の了解だが、これが所謂ゆとり世代の産物であろう。当然、彼らに悪びれた様子は一切ない。
三連休の初日で多少の渋滞は覚悟していたが、道中はいたって順調でほぼ定刻通りの11:26に大阪国際空港に到着する。
大半の乗客はここで降りるのかと思っていたが、降りたのは私の他に一人だけと拍子抜けだった。このバスは湊町(OCAT)経由なんば行きなので、そこからJRや南海、近鉄などに乗り換えて最終目的地に向かうのであろう。
|
●大阪国際空港にて
バスは大阪モノレールの大阪空港駅側の駐車場に着くため、いったんモノレールのターミナルに上がり、連絡通路を渡って12:31に南ターミナルに入る。横断歩道をつけてくれれればすぐなのだが・・・。
南ターミナルに入ってすぐ右手に国際線乗り継ぎカウンターがあり、すでにオープンしている。X線に通した預け入れ荷物を持ってプレミアムレーンに並ぶ。そのプレミアムレーンは2列あり、手前は5人組のグループがチェックイン中だったので奥側のレーンに並ぶが、ここで一悶着起こる。前の乗客のチェックインが終ったので空いたカウンターに行こうとすると、
係:申し訳ございません、あちらのお客様を先にご案内いたしますので、あちらにお並び直しください。
と5人組の列を指さし、私より後から来た5人組の列に並んでいる乗客を先に行かせようとする。一分一秒を争う訳ではないのだが、納得できないので問い質す。
私:どうして?ここもプレミアムレーンでしょ?私の方が先に並んでいたのも知っているでしょ?
係:申し訳ございません、あちらの列にお並び直しください。
私:だからどうして?ここはプレミアムレーンじゃないの?
係:申し訳ございません、あちらの列にお並び直しください。
・・・まったく会話になっていない。今回の旅行ではANAとの相性が過去最悪となるのだが、顧みれば「事の善悪無関係にとにかく相手が折れるまで謝り続けろ」という教育がなされているとしか考えられない。
とにかくこれ以上言っても犬に論語なので、しぶしぶ5人組の列に並ぶ。
|
すると見かねていたのか別のスタッフが「こちらにどうぞ」と閉まっていたカウンターを開けてくれる。最初からこういう対応をしてもらえば心象は良いのにと思う。きっと前述の係員はいつも似たようなトラブルを起こし、その度にこのように周りのスタッフがフォローしているのだろう。
ITM-NRT間はUA9728便となっているが、実際はNH2178便というANAが運行するコードシェア便で、UAのWeb上から事前に座席指定ができない。事前にANAに電話すればいいのだろうが、面倒だったのでしていない。チェックイン時に座席の希望を聞かれたので「なるべく前方の通路側」を伝える。
すると出てきたボーディングパスは2Dという、パーフェクトなシートがプリントされている。初めて成田で国際線に乗り換えた際、保安検査場が大渋滞でかなりぎりぎりだったこともあり、トップグループで降りられる前方の席ははありがたい。そしてこのことは後ほど想定外の効果をもたらすことになる。
お礼を言って12:42に出鼻をくじかれかけたチェックインカウンターを後にする。
|
●秘密の食堂?
腹が減っては戦ができぬ。(誰と戦う?)
ということで昼食をとることにする。
本来は2階か3階の飲食店が立ち並ぶエリアに行くべきなのだが、今回は敢えて南ターミナルの1階を出てJALグループの北ターミナル方面に向かう。
途中でトイレに立ち寄り、北ターミナルには入らず、その左手前にあるラティスで囲まれた喫煙エリアに入る。といっても一服するわけでなく、その喫煙エリアを突っ切ると一般の人が入るのがはばかれる雰囲気になるが、かまわず通路を入っていくと写真のような「オアシス」という看板がある。
看板の下に「関係者以外立入禁止」とあるが、ひるまずその鉄の扉を開けると・・・
|
↓↓↓マウスオーバーでチキンカレー↓↓↓
何ということでしょう、、、というほどのことではないが、空港職員のための社員食堂があるのだ。値段も安くボリュームもたっぷりで、ざっと見たところ500〜600円が中心の品揃えとなっている。
入口で食券を買って料理を受け取っていくセルフ方式になっていて、利用客は大半が空港関係者。場所柄JALのつなぎや制服を着たグランドスタッフを見かけるが、ANAの職員らしきは見かけない。
何気なくチキンカレー(500円)を頼む。味の方は可もなく不可もなくだが、何せ量が多くて残してしまった。見本より量が多い店は珍しいだろう。(笑)
念のために言っておくが、ここの情報は空港で何を食べようかと食べログで探しあてたもので、一般客も利用しても良いとのこと。決してターミナルビル2階・3階の飲食店の営業妨害ではないので悪しからず。
|
●ANA Lounge
↓↓↓マウスオーバーでいつもの・・・↓↓↓
オアシスには12:47に入店して13:05に出る。
再度南ターミナルに戻り、長いエスカレータに乗って3階に上がり、13:10にプライオリティ・レーンの保安検査場に入り、待ち時間なしで13:11に抜ける。
前回は知らずに下の階に下りたが、今回は分かり難い通路を通って13:12に3階からANA Loungeに入る。
大阪国際空港のANA Loungeは8/1にリニュアル・オープンしたそうで、時代を象徴してか各席にコンセントが備えられている。ただ、食べ物がショボイのは相変わらずだが、これはANAスタンダードなので仕方ない。
まぁ、食べ物に多くは期待していないので、慎ましく食後のビールを1杯よばれる。
|
●UA9728[NH2178]便 (ITM 14:35 - 15:55 NRT)
14:10にANA Loungeを出て11番ゲートに向かうと、すでに多くの乗客が待っている。
中には多くの外人もいるので、もしかしたら成田から同じ便の乗客がいるかもしれない。ただ、大半(ほぼ100%)は巨漢なので、できれば隣席にはなりたくないのだが・・・。
事前改札に引き続き、14:20に優先搭乗する。A320は通路が一列しかないが、ほぼ満席にもかかわらずアメリカ人やカナダ人のように大量に荷物を持ち込むこともなく、後ろの人を通してから荷物を入れるなどモラルもきちんとしているため、僅か10分余りでみんなが乗り込んで14:31にドアクローズとなる。
ほぼ定刻の14:34にプッシュバックされ、14:44にRWY32Lから北西に向けて離陸し、住宅密集地という場所柄のせいか、急上昇しながら大きく左旋回する。
分厚い雲をなかなか抜けず、気流が悪いのか機体の揺れが時々あるため、15:00になってようやくシートベルトサインが消える。忙しく機内サービスが始まり、温かいお茶をもらう。
そうこうしているうちに早くも下降態勢に入り、15:15にシートベルトサインが点灯し、真っ白な中から突如地面が現われ15:31に南東からRWY34Lに着陸する。大雨の中そのままタキシングして10分以上も早く14:42に98番ゲートの向かいあたり(401〜403?)で停止する。
|
【UA9728[NH2178]便諸元】
機体番号:JA8304、シリーズ:Airbus A320-200、型式:A320-211、製造番号:531、登録:1995/05
|
●成田国際空港にて
前方2列目ということもあり、14:44に降機してタラップからそのままバスに乗り込む。知らずに空いていた再前方左の席に座ったのだが、15:55にターミナルビルに到着して1番に降りることができ、しかもターミナル入口が目の前だったので1番にターミナルビルに入ることができた。先着の便もなかったようで、セキュリティ、イミグレーションとも1番に通過して15:58に制限エリア内に入る。早っ!
出発ゲートの33番ゲートを確認し、16:07に立ち寄れる時間などないと思っていたUNITED Clubに入る。ITMで2列目をアサインしてくれた賜物で、想定外の嬉しい誤算だ。
|
↓↓↓マウスオーバーでいただいたもの↓↓↓
本当はシャワーを浴びる時間があればいいのだが、それは贅沢というもの。だだっ広いラウンジにもかかわらず、空席がほとんどないほど盛況なのは相変わらずだ。
何とか奥の方に空席を見つけ、荷物を置いて食べ物を取りに行く。冬眠前の熊の如く、噂に聞くUAの機内食に備えてのことだが、如何せんエアカナダ同様北米のエアラインは”食”に関してはこだわりがないようで、クッキー、パン、バナナ、りんご程度のものしか置いていない。「食べ物くらい自分で買え!」と言われればそれまでだが、問題はそこではなく、航空会社間でかなり格差があると言いたいのだ。
結局マウスオーバーの通り、ビールをいただいたので文句はないのだが、後にバナナを食べとばよかったと後悔することとなる。(笑)
|
●UA838便 (NRT 17:15 - 9:10 SFO)
16:21にUNITED Clubを出て33番ゲートに向かう。さすがに大型機とあって、搭乗待合いにはかなりの人がいる。
驚いたのは17:15発なのに16:25に搭乗が始まることだ。これは定時発着を目指そうとすると、機内持込み荷物の多いアメリカ人相手では賢明な策だろうが、日本ではB747より若干座席数が少ないB777-300機でも30分前搭乗が標準だ。こういうところに国民性が出ているのだろう。
もうひとつ違和感があったのは搭乗を”グループ分け”していること。スタッフが「Group 1 and 2 boading now.」と叫んでいるのだが、自分がどのグループなのか分からない。
このスタッフが落ち着いた頃を見計らって尋ねると私はグループ2とのこと。
ANAで発券しているので分かり難いが、下の方に「G2」という印字があった。ちなみにUA発券のボーディングパスには、はっきりと「*PREMIUM BOADING」や「GROUP 2」といった印字がなされている。
|
このグループは1から7まであるそうで、推測だがUAの最上級会員である1Kやファーストクラス客がグループ1、ビジネスクラス客やスターアライアンス・ゴールド会員クラスがグループ2、スターアライアンス・シルバー会員クラスがグループ3、あとは後部座席からグループ4、5、6、7となっているのではないだろうか。
結局私が知ったのはグループ3が呼ばれている時で、16:32に搭乗する。その時はまだ私の列に乗客はいなかったため荷物棚も空だったが、乗客が乗り込む度に荷物を押し込み、最終的にどこもパンパンで雪崩れ落ちそうで恐いくらい詰め込んでいる。みんな自分の荷物より小さければ勝手に出して自分の荷物と入れ替え、出した荷物を別のコンパートメントの隙間に入れるので、知らぬ間に私の荷物は別のエリアに移動されていた。何だかなぁ・・・。
私の席は38Dで4列席の通路側。反対側の通路側は妙齢の女性が座っていたが真ん中2席はガタイのいいメキシコ系の女性二人組でちょっと窮屈そう。女性にこういうのも失礼だが、香水だか何だか私の嫌いな匂いがする。
|
17:04にドアがクローズされる。定刻より少し早く17:11にプッシュバックされ、17:30にRWY34Lから北西に向って離陸する。しばらく揺れが続いたのでなかなかシートベルサインが消えず、18:00になってようやく消えると、堰を切ったようにトイレに向う人が多数。(笑)
そりゃそうだ。グループ1で搭乗した人は1時間半も経っているのだから。
ドリンクサービスが始まり、ビールをもらう。米系航空会社のエコノミークラスはアルコールが有料と聞いたことがあるが、特にお金を請求されることもなかった。
19:00に機内食がサーブされる。Fish or Beefだったので、エアカナダの法則を思い出してBeefをチョイスするが、結果はハズレ。集成肉のグレービーソース煮のようなもので、お世辞にも美味しいとは言えない。もっともFishが”アタリ”とも思えないので、最初から”アタリ”は入っていないと考えるのが賢明だろう。
一緒にもらった赤ワインも心なしか不味い気がする・・・。
|
不味い食事、シートモニターがない古い機材、横柄な客室乗務員、、、と、あまり良い評判を聞かないUAだが、料金が安いからかマイルが100%貯まるからか、はたまた乗り継ぎが便利だからか、この便はほぼ満席である。
かくいう私も50%のボーナスマイルに釣られてそのUA便に乗っているわけだが、まぁ、これは恐いもの見たさというか好奇心みたいなもの。これで共産国や途上国以外の航空会社では驚かないだろう。(笑)
食後はトイレに行って安眠セットを取り出し、ノイズキャンセル・イヤホンでクラシックを聞きながら20:00に睡眠態勢に入る。ここで寝ておかないと時差ボケに苦しむことになるからだ。
ちなみにこの写真で前方に立っている3人はトイレの順番待ち。
|
ここから時計を17時間戻して現地時刻で。
ぐっすりというわけにはいかなかったが、5時間近くうとうとして7:50頃(日本時間24:50)朝食のデリバリーの喧騒で目が覚める。
私の所には8:00ちょうどに配られるが、選択肢はなくてオムレツのみ。内容は写真の通りで、上からマズイぶどうパン、激マズのオムレツ、普通に不味いチキンソーセージと、何故か三角形の唯一まともなハッシュドポテト。
昨夜のディナーが口に合わず、お腹と背中がくっつくまであと25cmしかなくなったひもじい胃袋も当初は背に腹は変えられぬと上手いことを言っていたが、まだ理性が残っていたのでほとんど残してしまった。
要するに、お腹は空いていても度を超した不味いものは食べられないということだ。(笑)
|
●サンフランシスコに到着
ひもじくて辛かった楽しかったフライトも終りに近付き、8:44にシートベルトサインが点灯して最終の着陸態勢に入り、9時ちょうどに北東からRWY19Lに着陸、定刻より5分ほど早く9:05に100番ゲートに到着、9:09に降機する。
往路は偏西風の影響で9時間ほどだが、復路は向かい風なので11時間以上かかる。着いたばかりなのに気が重い・・・。
何はともあれ、これで三度アメリカに上陸である。サンフランシスコ空港には初めて降り立ったわけだが、ボーディングブリッジをはじめ写真のように窓が少なく、外が見えないからか圧迫感がある。晴れの多い地中海性気候なのにもったいない気もする。
さて、これから第一関門の入国審査だ。
|
【UA838便諸元】
機体番号:N116UA、シリーズ:Boeing 747-400、型式:747-422、製造番号:26908/1193、登録:1998/12
|